「お薬のあれこれ」気をつけるべき食べ合わせ | 株式会社メディム

「お薬のあれこれ」気をつけるべき食べ合わせ

images

お薬とグレープフルーツジュースの相互作用

お薬手帳やお薬の説明をもらった際に、一部のお薬の注意事項として、

「グレープフルーツジュースはこの薬の作用に影響しますので、薬を服用中は、飲まないでください。」

というような記載がある場合があります。

このようなお薬を服用されている患者さんからよく質問されるのは、

1. ジュースではなく、グレープフルーツを普通に食べるのでもだめですか?

2. どれくらい間を開ければ、飲んで(食べて)いいですか?

3. グレープフルーツ以外のかんきつ類は大丈夫ですか?

などです。

お答えを申し上げますと、

1. ジュースだけでなく、グレープフルーツも影響します。

2. 何時間あければいいかは、一概に言えません。お薬を服用中は食べない(飲まない)でください。

3. 夏みかんやキンカン、ボンタンなど一部のかんきつ類は同じような作用があります。

という答えになり、かんきつ類が大好きな方には、残念なことになります。

では、なぜグレープフルーツや一部のかんきつ類は、お薬との食べ合わせがよくないのでしょうか?

心臓や高血圧に用いる一部のお薬などは、小腸で吸収される際にチトクロムP450(CYP3A4)という酵素によって代謝解毒されます。

一方、グレープフルーツや一部のかんきつ類も、この酵素と反応してしまう成分(フラノクマリン)が多く含まれているため、摂取すると小腸でこの酵素が消費されてしまい少なくなってしまいます。

このため、グレープフルーツとこれらのお薬を一緒に摂取した場合、お薬が十分に代謝されず、お薬の効果が強くなったり、持続したりします。

ある試験では、お薬の血中濃度が数倍にもなったとの報告があります。

また、グレープフルーツは自然のものですので、酵素と反応してしまう成分の含有量はまちまちです。したがって、どれくらいなら食べてもいいのかとか、どれくらい時間を空ければいいのかは、一概には言えないということになります。

同じように、グレープフルーツの入ったゼリーなどについても、食べていいのかと言われると、やはり、避けた方がいいということとなります。

なお、かんきつ類でも、これらのお薬の作用に影響するものとしないものがあります。以下を参考にしてください。

その他の気をつけたい食べ合わせ

一方、全く逆の理由で、併用してはいけない例があります。

お薬手帳やお薬の説明に「セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品は摂らないでください」という表現が書かれている場合がそれに当たります。

セイヨウオトギリソウは、セント・ジョーンズ・ワートともよばれ、癒しやリフレッシュを目的とした健康食品やサプリメント、ハーブティなどに含まれる成分です。

この成分は、前述の酵素(チトクロムP450)を肝臓で誘導(多く作らせる)します。すなわち、酵素の数を増やすということです。

そうすると、肝臓でこの酵素によって代謝を受けるお薬は、酵素の量が増えるわけなので、効果が減弱したり、作用時間が短くなったりします。

先ほどとは逆ですよね。

影響を受けるお薬としては、血液凝固防止剤、免疫抑制剤、強心薬、気管支拡張剤など、主として肝臓で代謝を受けるものがそれに該当します。

 

納豆も気をつけて

納豆は栄養価が高く、健康食品の代名詞のような食べ物ですが、ワーファリンという薬を飲んでいる人にはNGなのです。

血液が固まるためにはビタミンKという物質が重要な働きをするのですが、ワーファリンはこのビタミンKの働きを妨害して血液を固まりにくくします。

一方、納豆に含まれる納豆菌は、体内でビタミンKを作り出しますので、納豆を食べるとワーファリンの効き目を弱めてしまうことになります。

納豆のほかにも、クロレラ、青汁もビタミンKを多く含んだ食品なので控える必要があります。

ワーファリンは効きすぎると出血したり、逆に効きが悪いと、血栓ができたりしますので、納豆などとの食べ合わせは避けるようにしてください。

 

この他にも、牛乳と貧血のお薬など色々な注意すべき食べ合わせがあります。

 

お薬を服用される場合は、これらの注意事項を医師や薬剤師からきっちりと説明してもらい、理解することが大切ですね。