今回は、最近テレビCMでもよく見かける「ジェネリック医薬品」について、お話ししたいと思います。
ところで――――
ジェネリック医薬品って何ですか?
普通の医薬品とどう違うのですか?
と思われている方も結構多いのではないでしょうか。
ということで、この説明から始めたいと思います。
ジェネリック医薬品とは?
お薬はその有効成分に特許がある期間は、そのお薬を開発したメーカーが権利を譲らない限り、別のメーカーが同じ有効成分のお薬を作ることはできません。
しかし、特許が切れた後は、別のメーカーが同じ有効成分のお薬を製造し販売することができるようになります。このお薬をジェネリック医薬品(後発品)といいます。
特に最初に出されたオリジナルのお薬(オリジナル品/先発品)がとても優秀で売り上げも多い場合、多くのジェネリックメーカーがそれを製造・販売しようと考えるので、多いものでは数十種類のジェネリック医薬品が存在する場合もあります。
オリジナル品とジェネリック医薬品は同じなのか?
ジェネリック医薬品も、厚生労働省が定めた試験をクリアしていますので、使用にあたっての「生物学的な同等性」すなわち、体の中での効果(副反応も含め)は同等とされています。
ただ、副原料(賦形剤、崩壊剤など)やその量、作り方も含めて、オリジナル品と全く同じかというとそうではありません。
お薬を服用される患者さんは、性別、体型やアレルギーの有無、体の酵素の量もそれぞれ違いますので、中には、副原料の違いが、効果の違いとして表れる方もおられるでしょうし、プラセボ効果と呼ばれる、気分的な原因で効果が変わってくることもあります。
現に患者さんの中には、ジェネリック品は効きが悪いように思うとか、逆にジェネリック品の方が、効果がよかったという方もいらっしゃいます。
最近では、オーソライズド・ジェネリックという、先発品メーカーが特許の使用権を与えて製造・販売されているジェネリック医薬品があります。
この場合は、一般的には有効成分の使用の権利(物質特許)だけでなく、製法の特許も同時に許諾するため、医薬品の副原料(賦形剤、崩壊剤など)やその量、作り方も含めてオリジナル品と同じとなっています。
ジェネリック品はどれくらい安いの?
オリジナル品は、研究・開発に10年以上、何百億円もの費用が掛かりますが、ジェネリック医薬品は、その何十分の一の費用と時間で開発することができるため、オリジナル品より、低いコストで製造することができます。このため、国が定める「薬価」も低く設定されており、一般的には先発品の40-60%程度の価格で入手することができます。(一部、ほとんど薬価の変わらないもの、オリジナル品の無いジェネリック医薬品もあります。)
抗アレルギー薬のアレグラ60mgの場合(2018年4月1日時点)
オリジナル品「アレグラ60mg」:57.4円
オーソライズド・ジェネリック品:30.0円 (52.2%)
ジェネリック医薬品A:34.4円 (59.9%)
ジェネリック医薬品B:23.2円 (40.4%)
ジェネリック医薬品C:12.2円 (21.3%)
アレグラは1日2錠ですので、30日分だと、薬価はオリジナル品が3,444円に対し、ジェネリック医薬品は732円~2,064円となり、窓口での負担は1割負担で70円~200円、3割負担だと210円~600円程度の差となります。
*平成30年4月に薬価改定がありましたので、改定後の薬価にて計算しています。
ジェネリック医薬品ってどれくらいの比率で使われている?
少し古い統計ですが、厚労省が発表した「2014年9月の調剤医療費(電算処理)の動向」によると、4,363億円の薬剤料のうち、ジェネリック医薬品が587億円(13.5%)ということです。
ただし、すべての医薬品にジェネリック医薬品があるわけではないので、ジェネリック医薬品が出ている医薬品のみで数量を比較すると、56.1%がジェネリック医薬品に変更されて使用されています。(2017年6月~9月の推計値では65.1%に上昇しています。)
ジェネリック医薬品の比率は年々上がっていますので、そのうち、アメリカのようにジェネリック医薬品のある医薬品の9割がジェネリック医薬品となるような時代もやってきそうですね。
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